◆何秒で淹れるべきか
一番多くいただくお問い合わせです。
私は、皆さんが使ってる茶壷の大きさや質感、使い込み具合を完全に把握することはできません。気温、水質、やかんの素材などもそれぞれ異なるため、メールでアドバイスするのは容易ではありません。
そこで、次のようお話をさせていただいてます。
◆茶壷が呼吸?
茶壷をしっかり温めて、茶葉をとり、熱湯を注いでふたをします。
嘴(先端の部分)を、じっくり観察しましょう。
数秒後、ぷっくりとお湯が膨れるように溢れ出そうになります。
そしてしばらくすると、今度は逆にきゅーっと茶壷に吸い込まれていきます。
お湯が溢れそうになる瞬間というのは、実は、中の茶葉がゆっくり開き始めている時なのです。固く丸まった茶葉中にもわずかな空間があって、葉が開くにつれて体積が一時的に大きくなります。広がった分だけ、嘴からお湯が追い出されようとするのです。
次に、お湯が吸い戻される現象。
これは茶葉がある程度開いて、丸い茶葉の空間にお湯が入り込んでいったことを示します。これを、茶壷の呼吸に例える人もいます。
◆あとは自由に
ここまでの時間は、茶葉や水温によって違ってくるのですが、この先はほとんど差がありません。
例えば、そこから+10秒、濃い目なら+20秒、2煎目は−10秒、3煎目以降は+30秒など、自分の好みに合った淹れ方を探っていくとよいでしょう。
どうでしょう。
意外に簡単ですよね。
◆覚えるのは3点だけ
私は台湾で、まず中国茶道を学びました。
中国茶道の最重要項目の一つに「泡茶三要素」があります。要するに「茶葉の量・お湯の温度・浸出時間」の3点をいかにコントロールして美味しく淹れるかです。
今回ご紹介した淹れ方のメリットは、茶葉の量とお湯の温度がバラバラでも、ベストな浸出時間を捉えやすい点にあります。
泡茶三要素で思い出しました。
中国茶道の実演で、タイマーを使う人をよく目にします。
しかし、あれは絶対におかしいと思います。気温や湿度など様々な要素が浸出時間に影響を与えますし、もちろんそれが美味しく淹れられるかどうかにも関わってくるからです。決まった時間で淹れるだけなら、機械のほうが得意でしょう。
中国茶道は、専門用語を暗記したり、模範どおりに動作を覚えていくものではありません。泡茶三要素をいかに自在に操り、おいしく美しく淹れるかが中国茶道の面白さであり、奥深さなのです。
タイマーとじっとにらめっこする姿は、なんとも見栄えが悪いものです。
ちなみに昔の人は、心を落ち着かせながら、鼻でゆっくり息をする回数で浸出時間をつかんだそうですよ。それもまた趣深いものです。
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お茶が美味しい季節ですね。
大切な人と、心を込めて淹れた台湾茶をお愉しみください。
*関連リンク: 台湾茶の世界へようこそ
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